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とある世界、ファルミナ……その世界のとある場所では人間と魔物の戦いが行われていた。
「くそッ! 何でこんなに……! ぐわぁぁぁ!!」
「ゲヒャヒャヒャ! 人間共は俺等に殺されてればいいんだよ!」
「や、止め……グアァァァ!」
「あ、あぁ……。」
「ん~? まぁだこんな所に人間がいたのかぁ?」
「だ、誰か……。」
「安心しなぁ? すぐに殺してやるからよぉ!!」
「誰か助けてくれ!!」
「ギャアァァ!!」
「!?」
兵士が先ほどまで魔物がいた場所を恐る恐る見ると、魔物の姿は跡形もなく消えてその場には――。
「大丈夫か?」
「き、君は……?」
「魔の者よ、我が力を持ってして我が前から消え去れ……-グレイヴヤード-」
背格好や声から察するに少年が聞き慣れない呪文を唱えると、それまで兵士や住民を蹂躙していた眼前に広がる大地に群がる魔物達が一瞬ですべて消え去った。
「魔物が……!? 君は一体。」
「俺は……。」
少年が呟くように声を発した時、それまで街の行く末を表すかのごとく空を覆っていた厚い黒雲が裂け、そこから紅い陽光が射し込み荒れた大地と少年をスポットライトのように照らし出した。
「俺は……
『赤銀の覇者』だ。」
それだけ言うと、紅い少年は兵士の目の前から一瞬で消えた。
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