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――余談ではあるが。
「そいえば、どうしてアズは僕のベッドで寝てたのさ?」
というか、どうやって実界に来たんだろうか?
「う゛……そ、それはですね……」
何故か気まずそうに、視線をそらすアズ。
しばらくモジモジした後に、観念したかのような顔で白状した。
――アナフォーゼ家は、アズを実界に送るため無理矢理『穴』を開いた。
開いたは良いのだが、時間軸にズレが発生。
アズが灯志郎の部屋に出現したのは、見事なまでの丑満つ時。
さすがに、灯志郎を起こすのはまずいと判断するアズ。
万が一強盗などと間違えられては、話がややこしくなってしまう。
そんなわけで、灯志郎が起きるまで自分も寝てようかと思い、灯志郎をベッドから降ろして、深い眠りに就いたのだった……
「――と、いうわけなのです」
「え?いや、おかしくないかな、今の展開?」
今の話の中に、灯志郎がベッドから降ろされることが正当化される部分ってあっただろうか?
しかも、寝起きで灯志郎が誰だかわからなくって、挙げ句自分の目的も忘れ、空腹で家に帰ろうとするって……正直、第一印象で言えば強盗と間違われるのと五十歩百歩だと思う。
そんな事を思い、アズに守ってもらうという行為に、一抹の不安を抱かざるをえない灯志郎なのだった……
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