第二章……『死亡時刻のお知らせ手紙1』

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――アズの言葉に、灯志郎はため息を吐いた。 「……まあ、その。そーゆー展開かな、とは思ってたけど」 改めて宣言されると、こう、気が滅入るのを堪えられない。 ゙――ちなみにですが、トーシロー……私、今日からこの家に住むですから……よろしくです――゙ 「ハァ……倫理的にどうなんだろ、今の僕?」 いやまあ、誰が見たってアウトだとは思うのだが。 若い男女が一つ屋根の下で二人っきり……漫画などではありがちなシチュエーションで、男子として一度は憧れてみたりするものの、実際そうなったら結構きついと思う。 ――特に、そう。 「志郎ちゃ~ん、遊びにきたよ~!!」 知人にどう説明するかが問題なワケで……っていうか、 「涼音、チャイムくらい鳴らして入ってこいって、いつも言ってるよね!?」 「えへへ、忘れてた」 「えへへ、じゃねぇよ!反省しろよ!」 「反省、してるよ?」 「嘘吐け!満面の笑顔で何言ってるんだよ!」 「……うぅ、志郎ちゃん?怒ってると、可愛い顔が台無しだよ?」 「出てけ!もうお前、出てけよ!」 「あっ、志郎ちゃん!?」 「な、何?」 「この可愛い子、誰!?」 「気付くのが遅いよ……」 相変わらずの掴み所の無いテンポに、灯志郎は言い様のない倦怠感に襲われたのだった……
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