第二章……『死亡時刻のお知らせ手紙1』

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――吹島涼音(ふくしま すずね)。 外見的要素で見れば、文句なしに可愛い子。 学校での評価は、他の学年、他のクラスの男子からはかなりの人気者。端的に言えば、アイドル視される程の。 しかし、現在同じクラス、あるいは、過去に同じクラスだった者は、皆口をそろえて言う。 『見ている分には可愛いけど、彼女にしたくはないな』、と。 故に涼音に浮いた話はなく、しかし人を引き寄せるタイプであることに間違いはないため、男女問わず友人は多いという典型的なムードメーカーである彼女。 涼音がそんなポジションたる所以は、一重に『極まった天然であり、かつ、信じられないほど掴みにくいテンポの持ち主』であることに起因する。 ――例えば、そう。 「へぇ~、アズちゃんは悪魔さんなんだねっ!」 灯志郎がほんの少し考え事をしている間に、躊躇う事無く見ず知らずの少女とコミュニケーションを取るくらいには怖いもの知らずであり、しかも、 「ね、ね、アズちゃんは魔法とか使えるの!?見せて見せてっ?」 しっかりちゃっかり順応しちゃう辺り、良くも悪くも天然さんなのだった。 「構わないですが……魔法とは言っても、何をしたら良いですか、スズネ」 しかも、意外に打ち解けてるっぽい。 いきなりアズが悪魔だとばれた時はどうしようかと思ったが、涼音ならまあ、良くも悪くも安心なのかも―― 「ん~っ、それじゃあまずは、この辺り一帯を焼け野原にしちゃうとかっ?」 「――待てやコラ」 いきなり何を言いだすのかこの天然は? 「っていうか、アズもその注文を真に受けないでよ」 いいから、早くその手に溜まってるエネルギーの固まりっぽいのを消しなさい。 もう何というか、あまりにカオスな展開に着いていけない。 しかし、涼音とアズは呆れたような顔で、 「もうっ、相変わらず志郎ちゃんは冗談ってモノがわかってないねっ!」 「……トーシロー、つまんない男なのです」 「…………」 いやもう、頼むから出てってくれとわりかし本気で思う灯志郎。
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