第二章……『死亡時刻のお知らせ手紙1』

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「……涼音、早く起きるんだ。アズが泣く前に、早く!」 涼音が寝てしまったのは、自分の話が退屈だったからだと思ったのか。 アズは俯いて、ちょっと本気で泣きそうだった。 「あ、アズ、大丈夫!アズの話はおもしろかったしわかりやすかったよ!あの話で寝られる涼音がおかしいんだ!」 呼び掛けても揺すっても起きる気配のない涼音はいっそ無視して、アズのフォローを試みてみる。 「うぅ……ホントですか、トーシロー?」 涙目で見上げてくるアズ。 「…………………はっ!」 ――いかん、何を見惚れてるんだ僕は!? 知らずアズから視線が外せなくなっていた灯志郎だが、あの可愛さを前にして正気でいられる男は中々いないと思う。 ――ただ、困ったことに。 「やっぱり……私の話は、おもしろくなかったですね……」 アズについ見惚れてしまって、質問に答えるチャンスを失ってしまった。 結果アズは、いつもよりダウナーさ三割増な空気をまとい始めてしまい……なんかもう、本格的に収集つかない気がするんだが、どうなんだろうか? 「――い、いや、そんなことないって!アズの話はおもしろいよ!ねえ、涼音?」 もう半ばヤケクソ気味に、未だ寝息を立てている涼音に話を振る。 心境的には、投げっぱなしというやつである。 ――果たして涼音はといえば、 「んゅぅ……渋いよ……格好いいよ……グミおじさん……」 よくわからない夢世界に行っていた。 いやもう、幽体離脱して別のユングに行ってるのかもしれない。 グミおじさんて、なんだその怪奇生物は。 そんなお菓子テイストなおじさんは嫌だな……などと、灯志郎がもはや現実逃避気味な思考を繰り広げていると。 「トーシロー、もう良いです……」 先程より少し柔らかい声音で、アズはそう告げた。 「え?いや、でも……」 結局、何一つフォローできてないんだけど…… そんな灯志郎の思いとは裏腹に、アズは小さく、けれど確かに笑って。 「トーシロー、お前……優しい、です」 そう言ってアズは、少し恥ずかしそうに頬を染めた。 「…………」 ――い、いや、その。 そんな事、急に言われても困るっていうか、その、くすぐったいっていうか……
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