お小遣い

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伊藤家はいつもと変わらない朝を迎えた。 聖子「みんな~朝ご飯できたわよ~~~!」 妻の聖子の声で朝は始まる。 美奈「は~い!」 娘の美奈が元気に返事をした。 聖子「まったく…貴弘ったら…まだ起きないのかしら?」 妻がぶつぶつと文句を言いながら、二階へ上がっていった。 俺の名は貴仁。 この伊藤家の大黒柱だ。 つまり、主である。 俺は今…布団の中、さっきから皆の声を聞きながら、妻が起こしに来てくれるのを待っている…… ドアが開いて…妻が頭を下げ、手をつく。 「あなた、朝食ができました」 なぁんて感じで………… 来ない…! …ふぅ…そんな事あるわけないか…理想だな…… 朝から、妄想に耽る俺。 しかたない。起きるか! と、思ってたらドアが開いた…! …ハハ…やった! 妄想が現実になったと喜ぶ、俺。 妻は…………部屋から庭に出て……ええ??…… 出て行っちゃったよ!! おれは跳び起きて…庭にいる妻を見る。 洗濯物を干している。 ぼーっと見ている俺に妻が視線を送ってきた。 「何見てるの?て、いうか…まだ寝てたの?遅刻するわよ」 冷たい……ううッ! 渋々起きる俺…。 背後から、妻の声が…。 「朝ご飯、残り少ないけど我慢してね~!」 食卓に行くと…玉子焼きがあったと思われる皿と煮物が入っていたと思われる小鉢……… すべて空だ…! 残りは…たくあん…? 味噌汁は…あった! 味噌汁が残っていただけで、感動する俺って…… 自分でご飯を盛り食べる パリパリ… たくあんを噛み締める音が、虚しく響く。 「早く食べちゃってね!片付かないんだから…」 「…うん…」 何故か怒られる…俺。 バタバタバタ…! 「行ってきま~す!」 子供達が学校に行ったようだ。 妻は財布に手を入れて… 「はい、お小遣い…」 俺の茶碗の前に…500円玉 「それからね~今日はお弁当作ったの♪」 渡される弁当箱! …う、嬉しい… またも、感動! 「ありがとう♪」 満面の笑みで妻にお礼を言った。
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