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俺は、家に帰った。
まだ4時。
妻はパートから帰っていないらしい。
鍵を使って入る。
娘も息子もいないようだ
塾か部活だな……
俺は少しふらふらする身体を引きずり、ベッドに潜り込んだ。
しばらくして、妻と息子の声が聞こえた…。
貴弘「ねぇ~お小遣いちょうだい!」
息子が妻にねだってる。
聖子「ダメよ。この前あげたでしょ!」
…そりゃあ、そうだ…俺だって追加の小遣いなど貰った事は無い!息子よ貧しくても強い子に育つんだぞ…!
小遣いを貰えない息子にエールを送る。
貴弘「…ねぇ~お母さんこの貯金箱の中身貰ってもいい?」
聖子「え~?あ、それ?それならいいわよ~♪」
貴弘「やった~♪」
…ポンッ…ジャラジャラ
…え…?!…それは…?俺の豚君…?!!!
バタバタバタ!
俺は必死で居間まで走る
「ちょっと、待て!」
驚いて俺を見る二人。
「今日は早かったのね」
「お父さん?」
「ああ、腹が痛くて…いや!そんな事を言いたいんじゃない。貴弘!お前…その手に持ってるのは何だ?!」
「え?これ?豚の貯金箱だよ~♪」
「そんな事はわかっている!それは誰のだ?!」
「ちょっと~何をそんなに興奮してるのよ。いやぁねぇ…変なお父さん」
「お前は黙れ!」
聖子を叱る俺。
聖子の眉がピクッとあがった…!
……こ、恐い…!
しかし、俺は今それどころではない!!!
俺の豚君が…!!!
「誰のだ?答えろ!」
尚も貴弘に聞く俺。
「うぅッ…お父さんが怒った~~~!」
妻に抱き着く息子。
…オイオイ…俺は悪者なのか…?
「あなた!!!」
「はい!」
反射的に返事をする。
「何を怒鳴ってるの?子供が怯えるでしょ!」
「…い、いや…その豚君は……俺の…」
妻の問いに、急にしどろもどろになる。
…頑張れ!…俺。
「あなたのだって言いたいの?中身はどうせ小銭でしょ?そのくらいで騒がないでよ。小さいわねぇ~」
…うッ!…
小さいって言われた~!
俺は涙を堪えて寝室に戻った。
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