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朝………
聖子が朝の支度をする為に、キッチンにいる。
「あら?ご飯炊けてないわね…私、セットしなかった?」
今から炊いても間に合わない。
聖子は朝食をパンにするようだ。
パンは三枚ある。
「足りないわね…困ったわ。あら?あるじゃないの~♪」
後ろから…パンが一枚入った袋を見つけた。
前の残りだ。捨てようと思ってたが忘れていたパンだった。
「…ま、大丈夫かな?」
聖子はパンを見て…少し不安な顔をしたが、使うようだ。
袋から取り出したパンは所々青色や黒色の物がついていた……
「う~ん?これくらいなら…少し削れば平気よね~♪あの人丈夫だし」
聖子はそのパンを貴仁に食べさせる気らしい。
朝食の準備をする。
「みんな~ご飯よ~♪」
明るい声が響く。
食卓に集まる家族。
パンは一枚ずつ。
…うん?俺のだけジャムとマーガリンが既についてる…?しかもジャムがたっぷり…?
俺が黙ってパンを見る様子に妻が慌てて口を開いた…。
「あ、お父さんにはサービスでたっぷりジャムを付けておいたの。昨夜は何も食べなかったんだから…ちゃんと栄養採ってお仕事頑張ってね♪」
感激する、俺。
「ありがとう♪」
俺は…妻はやっぱり優しいなぁ♪なんて思い喜びを噛み締めるように一口
………ん…?
「何か…黒い粒々が?」
「そう?苺ジャムだから種が黒いのよ~!」
「そっか~♪種か…」
疑う事を知らない俺は…朝食を全て平らげ、出勤した。
いつものようにホームで電車を待つ。
冬の朝、寒かったが今朝は妻の優しさに触れて…心が暖かい。
昨夜…少しでも妻を恨んだ自分は、何て駄目な夫なんだろう…
弁当だって…妻は鮭が悪くなってる事に気付かなかったんだな、きっと。
俺は馬鹿だなぁ……
妻を疑うなんて…何て事を!
すまない、聖子……
ああ…心が痛むよ………
ううッ!…て、あれ?
心じゃなくて…腹…?!
腹が痛い~~~~~!!
俺はまた…腹を抑えて意識を失くした。
気がつくと病院…。
昨日の医師が目前にいる
「…珍しいですね。食中毒です」
俺は思わず笑ってしまった。
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