日常の朝

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       俺と歳が一つしか変わらないのに身長は180を優に超えてて、170前半の俺は成す術が無い。  そもそも、自分の部屋に自分のベッドがある癖になんでここにいる!  昨日俺が寝た時はいなかったぞ、間違いなく!いつ来たんだ!    必死に腕から抜け出そうとジタバタしてると、依織兄が俺の横で低い唸り声をあげた。     「あー……ウゼェ……」      ついビクッ、ってなって顔を覗き込むと、幸いまだ目は瞑られていた。  この人は病的な低血圧だから、眠りを起こすと泣きを見る。(前科あり)    とは言え、こんな状態をほっとける訳がない。  依織兄は普通だと家で一、ニを争う寝ぼすけなんだ。  自然に起きるのを待ってたら、朝食の準備が無いことに気付いて他の兄弟がここに来るに決まってる。  いくら肉親でも、男としてこんな状況見られたくない!   そんな背に腹は代えられない状況だから、俺は最終手段に出た。  依織兄を、怒らせずに起こす方法。    まずは起こさないように慎重に体の向きを変える。依織兄の方を向くんだ。幸いそんな強く抱かれて無いから、これは成功した。  目の前に依織兄の整った顔があると流石にビビる。  この人は母さんが外国人だから、ハーフって奴になるんだよな。  日本人離れした顔は凄く美人なんだ。  まあ、俺は本性を知ってるから惚れ込むことは絶対ないけど。    次に、耳元で、普段からは考えられねえくらいに甘い声で囁くんだ。     「依織、起きてな……」      ってな。  内容自体は呼び捨てってだけで平凡だけど、自分でも鳥肌が立つくらいの声でやれば効果大だ。  ついで仕上げとばかりに、フイと鼻の頭にキスをする。  こうすると、この人は十中八九目を覚ます。   ほら、今も。      
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