崖の末端

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激しく吹き上げる風が、君の薄い身体を持って逝きそうだね。   ふらつく足元が、いかにもあやしいよ。 しっかり歩いてお行きさ。   両手首に縛られた帯が、白い肌に青痣を作って。 口に噛まされた布に、血が滲んできて。 恐怖に歪んだ顔は、涙に彩られて。 醜い筈のその顔も、どこか。  綺麗だよ。       風に舞う君は、 羽根をもがれた天使のように、軽やかに墜ちていく。
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