第2幕

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 どこからともなく、自殺願望を持っている人だけに噂が伝わり、『自殺屋』の評判は広まっていった。 この街のどこかにあるといる自殺屋…、 しかしその場所はハッキリとは伝えられていない。 何故ならば、自殺屋を訪ねた客は、誰かに伝える前にこの世を去ってしまうし、 もし誰かに話して、自殺をやめるように説得でもされたら困るからだ。 《死人に口なし》とでも言うべきだろうか。 ただ、自殺を心に決めた人間がフラフラと歩いていると、この『自殺屋』の店の前に辿り着く…という。 その店は古びたレンガ造りの欧州風で、ドアはどっしりとした木製の背の高い茶色い扉。 夜にはお洒落なバーになりそうな、そんなひっそりとした佇まいで、歩道から入り口のドアまで3段程の階段がある。
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