憧れの幼なじみ

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憧れの幼なじみ

 橋を渡って、右に曲がると大きな屋敷が見えてくる。  僕の目的は、その先のお店へお買い物。  だけどその前に、幼なじみの可愛い、コルンちゃんに会う事が今の目的だったりする。  コルンちゃんはいつも、大きな門扉の前で、お屋敷を見ているんだ。  コルンちゃんのパパも、このお屋敷に入ったっきり、出てこなくなっちゃったんだって。  このお屋敷は、なんでも突然現われたらしくて……、でも、誰も住んでいないみたいで……。  調べに入った人たちは、誰も帰ってこない。  みんなが、恐くなって、お屋敷を燃やそうとしたんだけど、全く燃えないんだって。  もう、誰も近づかないお屋敷。  門扉も、もう開かないんだ。  僕は、人影を見つけて直ぐに駆け寄った。 「あれっ? ヒーちゃん? 一人なの? 凄いじゃない!」 「コルンちゃん! 凄いでしょ! 一人だって全然恐くないよ」  僕は、この村で少しだけ有名なんだ。  ヴォルティスが大好き。  絵本の絵だって全部覚えてるし、もちろんお話も一語一句、暗唱出来るよ。  でも、有名なのはヴォルティスと正反対だからなんだ……。  臆病者で泣き虫でやる気も無いって……。  ううん、僕はまだ小さいから当然さ。
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