保健室

1/6
前へ
/540ページ
次へ

保健室

土橋っちゃんと電話して以来、二宮とユウはおろか、誰とも会わずに夏休みを過ごした。 ───そして新学期。 真っ先に私は2人の姿を探した。 4組のユウは…来ていた。 どんな顔をして会うべきかが分からず、顔を出すのをためらっていると、意外にもユウの方から声をかけてきた。 『サ~ク、久しぶり~』 「ユウ……久しぶり…」 『なんちゅう顔しとんよ?』 穏やかな顔でユウが聞いてくる。 「う~ん…正直どんな顔していいんかが分からへんくて…。」 『土橋っちゃんから…聞いたんよな?私らのこと…。』 「うん…。ユウ大丈夫なん?」 思わず涙目になって聞いていた。 するとユウも涙ぐみながら、それでも…ほんと穏やかな顔で、口調で答えてくれた。 『大丈夫やで。私らもあんなんについて行って…ほんまアホやったわ…。でも…あんなん…嫌やったわ…』 そう言い終わると、我慢していたものが一気に、涙となって溢れ出した。 ユウ…辛かったよね。 悔しかったよね。 よく頑張ったよ…。
/540ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4721人が本棚に入れています
本棚に追加