さこん No.1 怖い人

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「あっ…これっ」 ふるえる手で僕は五千円札を取り出す。 「おっさん話せるじゃん! もっとないの?」 高校生らしき2人の当たり屋は もっとだせ と財布を奪い取ろうとする。 やめろ… そのお金は今月のゲームソフト代にいるんだ…! 「せこい金稼ぎすんなや」 まさに高校生が僕の手から財布を奪い取った瞬間 背後から低いうなり声がした。 「いやっ… 俺ら催促してないし…」 「こいつがくれるって」 高校生は態度を変え必死に自分の正当性を口にする。 僕はただおどおどと成り行きを見守るのが 正解だ。 正しい姿だ。 言葉を発さずただ高校生を見下ろす悪魔。 「……」 高校生たちは罰が悪そうにお互い目配せすると すいませんでした と悪魔に財布を返し一目散に逃げ去った。 「……あ……… ども……」 悪魔はなにも言わず俺に財布を押し付け歩き出した。 ………助けてくれたのかな? なんて甘い考えがよぎるけど 人間は汚いから きっと僕が依頼者だからなんだ。 僕は悪魔の依頼主なんだ!
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