走る!①

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 鉄道で関空まで行って夜明かしして一便しかない帯広行きに乗れる事にかけるか、伊丹~千歳で安全策をとるか、夜行と新幹線を併用して東京に行って、羽田~帯広を選択するか。何れにしても鉄道だ、と腰を上げた時に、点けっぱなしのテレビにテロップが流れた。 『航空各社ストライキの為、明日始発より全便欠航。』  ..ぐっ。  翼をもがれた気持ちになった。鉄道を乗り継ぐのであれば明日の夜になるか、下手をすれば明後日になってしまうではないか。  それまでお袋が保つ保証なんてありはしない。『飛行機が飛びませんでした。だから遅れました。』と言い訳はできるだろう。しかしそんな次元の話しではないのだ。俺という人間の根幹に関わる問題なのだ。  俺は八方塞がりの気持ちになり、煙草に火を点けてベッドに横になった。  立ち上る青い煙の先の天井に貼ってあるテキサス出身のプロレーサーのポスターが見える。勝つ事以外に興味の無かった彼なら、こんな時ににいったいどうするんだろうか。  彼なら決して諦める事は無かったハズだ。  彼が駆る青と白の車体に焦点の合わない目を持っていった時に俺は気付いた。  俺にも翼はある!
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