75人が本棚に入れています
本棚に追加
私は森の奥で待つことにした。
ここは少し開けていて、岩の並びがお気に入り。少しお花も咲いていて、とても落ち着くから。
良くも悪くも静かな場所。
そんな静寂を破る羽の音が聞こえてきた。
いよいよだ。
特にベリアルさんとは話をする事もない。ただ待つだけ。
やがて奥から物音や話し声が近づいてきた。
私たちは動じる事もなく、音のする方向を見つめている。
そして……。
現れたのは満身創痍の勇者様たち。
「ガッハッハッハ! 楽勝だな、おい! 俺がやってやるぞ!」
「ちょっと黙っててくれませんか?」
「ぐ、ぐぐぐぐぅ」
冷静だった。ベリアルさんより遥に強くなってる。これも勇者様のおかげ。
「遅くなったね、デイジー。さぁ! やろうか……」
立っているのもやっとじゃないの?
一番重症なのはナイトさん。聖者さんの肩を借りなければ歩けないほどだった。
こんな戦いは望んでない。お互いが体調を万全にして、全力で戦いたい。
私がそう言おうと口を開きかけた時、ベリアルさんを氷の粒が襲った。
最初のコメントを投稿しよう!