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落ち着かなきゃ。
「私だって……。勇者様が……、好きですよ」
「ならどうして戦うの? 何で戦わなきゃいけないの?」
「私が……、魔王様のお城へ通じる洞窟の鍵をもっているから……」
「一緒に行こう」
「行きません! 私はあなたと戦うために生きているのですから。それに、鍵は私の体内にあるんですよ? 私を殺さなければ魔王様に会うことができませんから」
嘘だった。でも、鍵は本当。ペンダントにして首から下げている。この魔石を掲げると、洞窟の入り口が現れる。
「なら、やるしかないんだね」
「お願いします」
私たちは向かい会い、構えた。
先手必勝「ファイア・ボール!」
大きな炎の玉を飛ばした。それは勇者様の全身を包む。
でも、このくらいでは倒れない。ここに来るくらいの強さだから。
だけど炎が消えた時、勇者様は倒れこんだ。
「どうして!? 回復してないの!?」
私は慌てて駆け寄った。そして、勇者様の頭を膝に乗せた。
「さらに強くなってるね」
勇者様は笑って言ってくれた。
嬉しかった。その言葉が一番心に響いた。
だってそう言って貰えるために強くなったんだから。
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