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「一緒に……、行こうよ」
「あなたは私の敵なんですよ?」
「世界征服なんて、止めたらいいさ」
「勇者様こそ、魔王様を倒すのを止めて下さい」
「魔族は罪の無い人間を殺すんだよ?」
「勇者様たちは、命令に逆らえない魔物を、たくさん殺してきたじゃないですか……」
「世界を守るために」
「私だって魔族の繁栄のために……」
平行線だった。お互いの信条が違うから。当然と言えば当然。
見つめ合って笑った。
涙が出そうなくらい、温かかった。幸せだった。
だけど……。
「勇者様!? 勇者様ー!?」
突然、勇者様の力が抜けた。
取り乱した。違うの。待って! 死なないで! 涙が溢れだした。
「誰か! 誰か来て下さい! 勇者様が! 勇者様がー!」
私の声に反応して、奥で控えていた3人が飛び出してきた。
「私に任せなさい。デイジーは動かないでね」
聖者さんはそう言って回復魔法をかけてくれた。
「バカよね。勇者ったらマジックパワーを回復できる指輪があるのに、あなたに渡したいからって使わなかったのよ。アタシたちまで殺す気かっ!」
魔導士さんは、笑って言った。
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