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勇者様と目が合って、ニコッて笑ってくれて。
スゴく温かい気持ちになれたの。
このままずっと見つめ合っていたい。
吸い込まれそうな瞳。力強い。
どんどん魅せられていった。
「おい! なんか出たぞ! お化け鼠とムカデだ!」
「何やってんのよ! 回復してないって言ったでしょ!」
「二人とも何をしてるんだ! ネズミは素早いぞ! 構えて!」
勇者様はちゃんとリーダー役もこなしてる。
敵に向かって(私にとっては味方だけど)行く後ろ姿を眺めた。
もう少し見つめ合っていたかっなぁ。
鼠を倒した頃、3人は限界が近かった。
「ムカデが……、硬過ぎる」
「私はもう、ヒーリングが使えそうにないわ……。戦士なんて毒が回って立ち上がれもしない」
どうしよう? もっとお話したいのに……
私はゆっくりと勇者様に近づいて行った。
勇者様は私に気が付くとまた微笑んでくれた。
どうして? 死んじゃうのよ?
私は気が付くとムカデの前に立っていた。
ムカデは動かない、いや動けない。遥かに格上の私を前に固まっている。
同族だから、上下関係が分かるから。
やっぱり私は魔族……。
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