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「危ないよ……」
勇者様は私を気遣ってくれた。
私は意を決してムカデに挑んだ。
意を決するというのは、魔族に歯向かう覚悟を決めたって事。ムカデは獲るに足らない相手だから。
今回だけは助けるの。そう、今回だけ。
でも私はそのうち勇者様たちと戦わなければならないの。お互い敵同士だから……。
私はムカデに手を向け「フレイム」と小声で呪文を唱えた。出来るだけ素早く燃え尽くしたかったから強い魔法を使ったの。ゴメンね。
お化け鼠とムカデを倒したら、精霊が出てきたわ。「助けてくれてありがとう」って。
私は興味が無かったから帰ろうと思ったその時、勇者様は手を握ってくれた。
「ありがとう。デイジー。良かったら仲間になってくれないかな?」
嬉しかった。真っ直ぐ私を見てくれる。でも私は魔族なの。
「ごめんなさい。でも、気持ちはとても嬉しいわ。本当に! 本当に嬉しいの。ありがとう……ございます」
私はその場を飛び去った。
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