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わたしもいつか、立派な剣士になって、皆を守れる人間になりたいと夢を見た。
しかし、わたしが10歳になった年に…。
「母さん……」
母さんが、町に襲ってきた魔物に傷を負わされ、魔物の呪いにかかった。
それにより、重病を患った。
町の医師の診断でも、教会の僧侶の癒しの力でも、母さんの病気は治らなかった……。
「母さん……」
わたしは、寝台に横たわっている母さんの顔を見た。
本当はつらいのに、わたしの前だからって笑顔を見せてくれた。
「アル……お母さんから、頼みがあるの……」
そう言って、震える手で、わたしにペンダントを差し出した。
「お母さん、もう死んでしまうけれど………お父さん達のように立派に生きてほしいの。そして…あなたのお父さんとお兄さんに、会ってほしいのよ…」
受け取ったペンダントのふたを開けてみると、そこには古ぼけた家族の写真があった。
赤ん坊のわたしは若き母さんに抱かれていた。
兄さんと思わしき少年と、鎧を身に纏う男もいた。
ただ、鎧の男だけは、顔の部分が色褪せていてよく見えなかった。
「アル……最期に1つだけ。…お母さんがこうなったのは、あなたのせいじゃないわ……」
「!?……」
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