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小学生の頃から仲良しだったこのメンバー。
貴士が交通事故で帰らぬ人となった今もこうやって度々会って遊んでいる。
条例が始まってから夜会う事は減ったが、それでも友情に変わりはなかった。
貴士さえ生きていれば…
そんな事もよく考える。
居ない者を考えても仕方がないが。
「亮太郎くん…あんまり美味しくない?」
どうやら考え事をしている間箸が止まっていたようだ。
香織が寂しそうな顔で亮太郎を覗き込む。
「いや、そんな事ないよ。考え事してただけ。」
「そう…ならいいけど…」
香織が俯く。
それを見てすかさず彩子が割って入った。
「亮太郎ぉ!ちゃんと食べなよ。香織が一番食べて欲しいのは亮太郎なんだからぁ!」
「ちょっ…ちょっと彩子!?止めてよ!」
香織が真っ赤になって彩子を引っ張っている。
「はひ!?はほひっへひょぉはほぉはふひはんあ?」
口いっぱいに頬張って雄介が尋ねる。
多分【なにっ!香織って亮太郎が好きなんか?】といっているのだろう。
香織はそれが聞き取れたのか赤面してへたり込んだ。
「照れるなよぉー!バレバレなんだからさ。いいじゃんいいじゃん!」
優子も囃し立てる。
そうやって過ごしている内に時間は刻々と迫っていた。
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