これからも……

2/4
前へ
/12ページ
次へ
葉が色付き枯れ落ちる季節の夕方、俺こと亜南と彼女の瞳は並木道を並んで帰っていた―― 「ねぇ、亜南」 「ん、なんだ?」 「綺麗だね、ここ」 「ん?あぁ、そうだな。 いつまでも一緒に見てたいな……」 恥ずかしがりながら言う亜南。 「そうだね♪ずっとずっと一緒に見よう? どんなに年とったってずっと一緒に!」 と言って二人は手を繋ぐ。 「あぁ。どんなに年とっても俺らはずっと一緒だ。何があっても」 「うん」 サアアァ―― やさしく包み込むような冷たい風が二人の間を吹き抜ける。 「気持ちいいな」 「うん」 そうして並木を見上げる。 二人の間に会話こそなかったが、お互い繋がってるのを静かに感じ取っていた。 「よし、帰るか」 「そうだね」 再び帰り路につく二人。 その手は固く握られたままである。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加