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葉が色付き枯れ落ちる季節の夕方、俺こと亜南と彼女の瞳は並木道を並んで帰っていた――
「ねぇ、亜南」
「ん、なんだ?」
「綺麗だね、ここ」
「ん?あぁ、そうだな。
いつまでも一緒に見てたいな……」
恥ずかしがりながら言う亜南。
「そうだね♪ずっとずっと一緒に見よう?
どんなに年とったってずっと一緒に!」
と言って二人は手を繋ぐ。
「あぁ。どんなに年とっても俺らはずっと一緒だ。何があっても」
「うん」
サアアァ――
やさしく包み込むような冷たい風が二人の間を吹き抜ける。
「気持ちいいな」
「うん」
そうして並木を見上げる。
二人の間に会話こそなかったが、お互い繋がってるのを静かに感じ取っていた。
「よし、帰るか」
「そうだね」
再び帰り路につく二人。
その手は固く握られたままである。
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