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「ちっ、戦場で敵に背中を見せるとは情けない男だ。斬鉄くらいで化け物扱いとはな……」
赤鬼はため息を漏らす。
(ふん、俺が化け物か……違うな……俺は鬼だ!)
前方を見据えると弓隊がこちらに向けて矢を放とうと弓を引いている。
「たわけ共が、この俺を矢で殺せるとでも思うたか……」
味方の兵は矢を躱そうと左右に走り回る中赤鬼は弓隊に真っ直ぐ向かって走り出す。
ヒュンヒュンと矢の雨が降り注いできた。
味方に矢が突き刺さりくぐもった悲鳴が聞こえた。
しかし、赤鬼は気にするどころかさらに走る速度を上げ無数の矢が飛び交う中、驚異的な動体視力で自分に当たる矢だけ叩き斬りながら弓隊に近付く。
「ふっ、弓など近付きさえすれば脆いものだ!」
矢の雨の中無傷で突破した赤鬼に驚き戸惑う弓隊の一人を袈裟斬りにした後、二人目を返す刃で下から斜め上に繰り出し敵の腕を切り落とし、横薙の一閃で首をはねた。
宙に血の雨が舞い狂い辺り一面に血臭が漂う中残りの敵を次々斬り捨てる。
「まだまだ!」
敵と味方が入り交じる中赤鬼は吠え、全ての敵を倒さんとばかりに走りだす。
「ウォォォォォ――――!!!」
―――――――
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