14/14
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
 今度は指が踊らない。頭の中で文字をなぞっているだろう。九一の字を。 「たったの三画か!」  約一秒で導き出した。そして続ける。 「およそ……十六分の一……そんなことってあるんだな」  ちょうどチャイムが鳴って先生が教室に入ってくる。そのまま通常通りに授業をし始める。一部を除いてすべて通常通りに。一部……城鐘がいない。でも、教室内はそれが当たり前のように授業を進めている。  五分後……来ない。  十分後……来ない。  二十分後……来ない――。  ついに授業が終わった。……屋上に行ってみようか。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!