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屋上につながる扉は派手な音を立てて開いた。
「…………」
見渡す限り、誰もいない。
「…………ん?」
出入り口の真上からシャッター音が聞こえた気がした。脇にあるはしごから上へのぼる。
そこにいたのは、ひざを抱えて座っている一人の少女。背中まで伸びた癖のない黒髪、手足は細く、よい顔立ち、首からは重そうなカメラを下げている。
「……見つけた」
少女の目線が一瞬こちらを向き、またもとの位置に戻った。そしてカメラを構え始めた。
「城鐘さん……だよね」
とりあえず聞いてみた。ほぼ本人だと確定してるし、反応してくれるか怪しいが。
「……そうよ」
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