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 さすがの珍しい苗字を持つ転校生でも、一度に、それも静かな空気の中で大量の視線が注がれることはなかっただろう。少々困った様子だ。 「ち……違いますよ。ココナッツじゃありません」  今、転校生の心拍数はこれまでの人生の中で最大値を記録しているのかもしれない。  そんな転校生の心境とは裏腹に、答えを否定された後、「なーんだ」「やっぱり違うじゃん」と言いたい放題だ。  しばらくして、ざわめきも減ってきたころ、ついに転校生は切り出した。
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