エピローグ

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守、そして結城の死からおよそ半月。 僅か十数日前に後輩と先輩を亡くしたのが嘘の様に感じる穏やかな四月の陽気。 三寒四温の言葉が正に相応しい時期である。 空は微かに白味がかかった蒼で、雨が降りそうな風でもない。遥か高い空に薄い膜の様に雲が広がり、その切れ間から陽光のカーテンが神秘的に挿し込む。 ふと近くに目を向ければ桜並木道。今年は、冬の冷え込みと、初春の温かさが相俟って連なる木々は平年より早く花を付けている。 淡いピンク色の消失点を遠い目で見詰めながら金子は最寄りの駅へと向かうのだった。 結城の一件があったために、(新人なので抱えた仕事もさして無いのもあるが……。)金子にはM県警の署長の配慮で一ヶ月の有給休暇が与えられた。 そこに至るまでに絢米吾郎の署長に対する進言があったことは言うまでもないだろう。 そんな金子が、仕事も休みなのにも関わらず、わざわざ駅に向かっているのは、文芸サークルの後輩達に花見に誘われたからである。 日曜なので、卒業して就職した不二、実希、由季の三人も仕事が休みであるし、大学生達は暇を持て余しているのであろう。 今年は、文芸サークルに新一年生が二人入ったそうで、その二人も来るということだ。せっかくの休みだ。 一日くらい後輩達と杯を交わすのも悪くは無い。 金子は、そんな想いを重ねながら徒歩十分の駅までの道のりを歩いていくのであった。
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