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『あれから一年も経つのか……。』
絢米翔吾はカレンダーを眺めながら一年前に起きた事件の事を思い出していた。
忘れたくても忘れられないあの事件。辛い記憶から何度逃げ出したかった事だろう。友人が死んだのだ。しかも殺されて。そう簡単に受け入れられるはずもない。
しかし、その事実もまた認めなければいけない時期ではある。
つい先程届いた一冊の本。
作家本人から翔吾の許に送られてきたものだ。
知り合いのデビュー作であり、何よりあの事件を題材にしたものだ。
就職が決まったが、入社まではまだしばらくあるために、時間はあるし、厚さから推して2,3時間もあれば読み終えられるだろう。最近の推理小説は面白いものがなくて飽き飽きしていたし、この作品の作家の書く文章は過去に何度か読んで気に入っているのでちょうど良い時間潰しになる。
そう思い、本のページをパラパラと弾き、『あとがき』を開く。
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