1人が本棚に入れています
本棚に追加
気が付くと私は、
見知らぬ駅の改札口にたっていた…
後では、
イライラした女性の声が私を急かした…
促されるまま改札を通ると、
そこには、若い青年がいた…
彼は私に手を振っている…
『ここやで、ちゃんと来れたやん…ぽぽたんさん』
私は呆然とした…
なぜなら、私は最近、
頻繁にメールをやり取りしてる人が居て…
その相手は、若い男性であると言うこと以外は、
何も知らなかっのだが、
ただ送られてくる絵文字や顔文字混じりの文章から、イメージを勝手に作り上げては楽しんでいた。
けれど…
そんな彼が今ここに…
突然現われたのだから…
驚かずに入られない…
私は、自分の身に何が起きているのか理解できずにいたけど…
恋心を抱いていた彼が…
今、ここに居る…
それだけで胸は高鳴った…
『荷物めちゃすくないなぁ~…
俺のアパートはこっちやねん…』
彼は、はずむ声で私の荷物を持ってくれた。
ブルージーンズにスニーカー、
深緑のニットセーターに同系色のブルゾンと…
ラフな姿に
ウルトラマリンの香りがした。
彼の冷えきった左手が私の右手を掴み、
優しい笑顔で歩きだした。
思い描いていた光景…
『ぽぽたんさんと逢うの楽しみで、この日を待ってたんやで、あのな…』
彼は、さらに話しを続けた…
不思議だなぁ~
彼とずぅっと前から
こうしていた気がする。
やがて、つないだ手が温まり、
歩くたび
ウルトラマリンの香りが漂った…
彼の穏やかで優しい声…
ブルゾンの擦れる音…
二人の靴音…
それら全てが、
冬の夜に消えて行く…
どうか覚めないで…
もう少し彼と
このままでいたい…から…
最初のコメントを投稿しよう!