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「ねぇリー、せっかく十六歳になったっていうのに、護国団に入らないなんてただの馬鹿よ?」
幼なじみの部屋の中。彼のベッドに我が物顔で寝そべりながら、今日もお決まりの会話をする。
「面倒臭い」
リーは私の挑発に乗らず、冷めた表情でいつもと同じ応答をした。青く氷のように澄んだ瞳が、呆れたように私を見つめる。
「もう! ダンみたいな英雄になりたくないの!? 護国団には男しか入れないし……私の代わりに英雄になってよ!」
太陽のように赤い瞳を伏せ、私はふてくされる。するとテーブルの傍に居たリーの姿が、瞬きと同時に消えた。そして、一瞬にして私の目の前に光のように現れる。
「俺は英雄とか興味ないって言ってるだろ」
そう言って私の額に指を弾くリーは、魔法が得意。だから護国団に入ったら、絶対に力になれるのに。瞬間移動なんて、私にはできないわよ。
「……なによ、リーの根性なし!」
顔の近さに頬が染まるのを感じ、悟られまいと立ち上がる。
そのまま舌を出してリーに悪態をつきながら、彼の家をあとにした。
行き交う人々を交わしながら、不機嫌に我が家を目指す。今日も町は活気付き、人で溢れている。
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