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怖ろしく何も無い部屋であった。
部屋の右隅にデン、と鎮座している60インチ程のディスプレイとコンピューターの端末らしきデバイスとキーボードを配置したデスクがポツン…と置かれ、いつからこのままなのか検討もつかない程の埃の山となっていた。
「判らん…だがこのディスプレイを見てて、妙に気になってなぁ。」
アードの言葉に腕組みしたままのガイが応える。
「で…俺達に何をしろと言うんだ?」
アードは、単刀直入に言った。
「お前、こういうのに強かったよな…。」
「まあな…。」
「こいつ、調べてみて欲しいんだ。…やってくれないか?」
「そりゃかまわないが…いったいなんだろな。」
「判らない…だが、この薄ぼんやりとした画面の中に…どうも、人と人が戦ってるような姿が、浮き上がって見える時が有るんだ。…ひょっとしたらと思ってな…。」
アードとエイカの二人が息を呑むような表情で顔を見合わす。
「そっそれって、き…禁断の格闘術!… 。」
アードが息苦しそうに絞り出した。
「いや…断定は出来ない。しかし、もしそうなら…。」
「もしそうなら…?」
「なんとしても知りたいんだ!…」
ガイがディスプレイの奥を覗き込むように睨み付ける。
「どうして、そこまで…。」
「………。」
ガイは唇を噛み締めるような顔をしたが、あえて黙っていた。
沈黙に耐えかねたかのように、アードが続ける。
「しっしかし、拙くはないか…。」
「何故だ!」
「タブーだし…法に触れるんじゃないか…?」
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