封印されしもの…

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流れるようにアードの指がキーボード上を踊る。いつの頃からか、コンピューターは完全な音声入力形式が当たり前となっていた為か、ドーム出身者のガイもキーボードの勝手が判らなかったのである。 でなければ、とっくの昔にガイ一人行動を開始していた事であったろう…が、そうそうは思い通りに行くものでもない訳である。 幸い旧時代のコンピューターをアウトピープルの村が使用していた事が、ガイにとっての頼みの綱に成ったのであった。 取り分け、親友のアードがコンピューターに強かったのは救いであった。 だが、ガイもこれまでの数日間思い悩んだのであった。 下手をすれば、自分のみならず親友をも巻き込んで終いかねない、犯罪行為に成りかねない事を彼とて感じていたからである。 ともあれ、アードとエイカの協力が得られた事は心強い助けであった。 「やっぱり駄目だぁ~…パスワード無くちゃ無理だよ…。」 アードが暫く孤軍奮闘したあげくに両手を挙げた。 「パスワード回避して潜り込んだろうと思ったけど、ガードが硬いよ!」 椅子の背もたれに体を預けながら、アードは軽く自分の頭を叩いた。 「パスワード…かぁ~…。」 オウム返しのようにガイが呟いた。 「…とにかく、適当なワード入れてみよう。」 アードとガイは、二人してあーでもない、こーでもないと、思い付く限りの言葉を打ち込んでみるのだが…ディスプレイに変化は無かった。 それまで、ひっそりと存在を空気に溶かしていたエイカが、初めて口をはさんだ。 「ねぇ…あたしさぁ、昔父から聞いたことが有るんだけど…。」 アードとガイは、藁をも掴む想いで振り返った。 「あたしの十代位前の先祖なんだけど…このシステムに係わった人が、居たんだって…で、その時のプロジェクト責任者の言葉…なんかの本に有ったような気がするんだけど…あたし、読んだ…。」 「うわーっ!思い出してくれ~…!」
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