プロローグ

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アウトピープル側では、自給自足に徹して、けっしてドームへは近付こうとしなかったし、遊び慣れてしまったドームの人々は忌むべき自然の中に生きる者達を汚い物でも見るかのように、上から見下ろして嘲笑っているだけであったから、同じテーブルで向き合うなど有り得なかったのである。 この数百年、世界は取り合えず小さな小競り合いを除いて、平和を保ってきた事もあって人々が無闇な争いへの欲望から遠ざかっていた事が幸いしたのである。 が、しかし…バランスは崩れた。 それは突然やって来た。それも世界的規模で…。 後に「大崩壊」と称された、世界大震災である。 巨大都市型ドームは、その殆どが粉砕された。 そして生き残ったドームの人々は全ドーム人の一割にも充たなかった。 廃墟と化したドームを離れた人々は、生きるすべも無く、アウトピープルの村々の近くに、ありあわせの材料で小屋を作り、アウトピープル達の情けの食料を糧として生活を営み始めた。 自然の前に人々は無力であった。
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