椿という名の男

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佑介との騒ぎで椿の名前は広まっていった。 毎日のように、お前が椿か?と聞かれる。そのたびに、そうだけど。と笑いながら答える。   『俺が椿だけど喧嘩はしねぇぞ』   そんなことを言っても、はいそうですか。なんて聞き入れるやつなんているはずもなかった。 しかし、入学して1週間たった今でも椿に指1本触れることのできた奴はいなかった。   それは佑介がいたからだ。椿に相手にされないで叫んでる奴をかたっぱしから潰していった。 椿が頼んだわけでもなく佑介自らの行動だった。最初に椿を相手にした佑介にとっては余裕な相手ばっかだった。   椿は関係ない顔をして柄に似合わず読書をしてばっかりいた。 自分から喧嘩を売ることは一切せず不良じゃない奴らも椿だけにはビクビクしないでいられた。
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