閃光

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アナライズのコックピット内に響くアラ―ト。 「最期までありがとう。ルナ…、ティエリア…」 小さな声が聞こえた。 あぁ、うるさいな。 セルリカはそう思う。 「…当然か」 私はまた戻って来たんだ。 このうるさい戦場の中に、帰って来た。 『人は、世界は、俺達を捨てた…それでもやるのか?セルリカ』 ハロからの声にセルリカは目を伏せた。 「それでもやるんだよ。貴方はどうするの?」 『…付き合う』 すると、セルリカはヘニャリとした笑みを浮かべた。 彼女本来の表情を見せた。 「…ありがとう」 やはり。 人の心が変わるには。 たくさんの人の死が必要なのか。 「…大丈夫だよ。もう一人じゃない」 『セルリカ…』 「私が望んだ静かな世界じゃないかもしれない。少しうるさいかもしれないけど…、皆やティエリアがいるよ…」 苦笑いを浮かべたセルリカの頬から、一筋の涙が垂れた。 「行こう、ルナ。最期の出撃だよ」 セルリカの声が宇宙に響いた。
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