モテモテキング

３月20日の訪れ

崚介が死んでから何日過ぎただろうか。
朝起きてふと俺は思った。
何気なくカレンダーを見てみた。
『今日は…３月20日か……！』
３月20日の欄に『モテモテ道』と書いてあったのだ。
すっかり忘れていた。
俺は渡辺悠介。
『クールフェイス』の異名をもつモテ男だ。
俺は先日双子の兄、崚介を『セクシャルフェイス』渡邉真幸と『プチマッチョフェイス』堀田裕太に殺された。
俺は崚介の仇をとらなければならない。
俺を逃がすために死んだ崚介の為に…。奴らは『モテモテ道』に参加してくるはず。
俺は早速、愛用自転車『デュランダル』で『モテモテ道』の会場『モテモテコロッセオ』に向かった。
風が強い。
あの時と同じだ。
初めて『モテモテ道』の開催を知った時。
風は強いけど、ペダルが軽い。
俺は『モテモテコロッセオ』に到着した。
俺は驚いた。
何故かというと、かつて俺と戦い、死んでいった奴がゴロゴロいるじゃないか。
悠介は知らなかったが、渡邉真幸が『モテ指輪』の力によって生き返らせたのだった。
俺は思った。
崚介も生きてるんじゃないか？と。
だけど、崚介は見当たらない。
俺はエントリーを済ませてから崚介を探そうとした。
すると、誰かに止められた。
黒いパーカーに虎のおめんを付けていた。
なんとも不気味な男だ。
『何だよ。』
俺はおめんの男に話しかけた。
おめんの男は俺に説教し始めた。
『何を考えているかは知らないが、モテモテ道に参加する以上、モテモテ道のことのみに集中しろ。出来ないのなら参加するな。』
その言葉だけを残し、おめんの男は去った。
たしかに奴の言う通りだ。
『モテモテ道』の中で崚介が生きてるかどうか、答えは見えてくると思うし。