第一話

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その日 俺は、大学から一人暮らしのアパートまでの帰り道を、小走りで帰っていた 突然の雨に降られ、傘を持っていなかったが、洗濯物も干してきていたので、ずぶ濡れ覚悟で雨の中を走りアパートへと急いだ 今日に限って大家さんは出かけてるんだよな 俺は居てほしいときにおらず、居なくていいときにいる大家さんを恨んだ せめて他に住人がいればなぁ 俺、井上大和(イノウエ ヤマト)の住むアパートの住人は、俺のみである 正確には、一階に大家さんが住んでいて二階に俺が住んでいるだけである 部屋数6という、ちっぽけで今にも崩れそうなオンボロ木造二階建て 六畳一間とトイレに、狭い台所ともいえないような炊事場だからだろうか 風呂がないからだろうか 家賃は一万の格安アパートである やっぱり今どき、風呂くらいついてるところに入るよな 大和は大学生活4年間で、このアパートには誰も入ってこないだろうと考える
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