1章:罪償

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戻ってきてしまった。 友達を見捨て、逃げた罪を償うために。 そして、なにより友達を助けるために。 彩は忍び足でキャンプ地の周りを調べていた。下手に音を出せば気づかれる。 しかし、探さなければいけない。 純、智子、美紀が生きている証拠を、そして生きているならどこにいるのかを。 どっきりだったら許さないんだから! そう心で愚痴を漏らしながら注意深く、そして丁寧に生きている証拠を探さしていた。 テントは無惨にも引き裂かれ、バーベキューセットなんて見るも無惨な姿になっていた。 智子達もこんな姿に……と想像すると彩は急に罪悪感に襲われた。 私があの時助けにいけば!あの時………。 彩は涙を堪えきれなかった。 自分が犯した罪に耐えきれなくなったのだ。 そして、その涙が彩の人生最大のミスを誘った。 つるっ と派手に転けてしまった。 普段なら笑って終わる事だが……今回は事情が違う! 彩はこけた格好から動かなかった。 熊には死んだふりが良いと聞いたことがあったからだ。(実際は無理) そのまま時間が過ぎ、周りに【何か】が居ない事を確認して起き上がる。 そして、おもむろに振り返った時、彩は人生最大のミスは転んだ事ではない事を知った。
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