1章:罪償

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例えるならそれは人より少し大きなゴリラ  しかし、ゴリラと違う 手は生きた獲物を仕留めるために太く長い爪が三本 目は獲物を逃がさない。そして、暗闇でも獲物を見極める目 その目は大きく、顔の半分は目じゃないのかってくらい大きな一つの目 筋肉質で紫の色をした不気味な皮膚 つまり【怪異】 この世のモノではない存在 その化け物が彩の目の前に立ちはだかっていた。 彩は否定した。  こんなの居ない。いるはずない。 いちゃいけない! しかし、その存在は15m先に居て、こちらを観察するかのように見ている。 動けない。背中を見せたら殺される。でも逃げなきゃ 彩は恐怖で動けずただそ場に立ち尽くしていた。 冷や汗が体を伝う。 ふと、その化け物が鼻をフンッと鳴らし、そして次の瞬間、吠えた。  【ガァォオォオオ】 彩はそれが合図といわんばかりに走った。 殺される。殺される。殺される。殺される。殺される。殺される。殺される。殺される!! 無限に鳴り響く頭の警報がそう告げた。 彩は走った。どこまでも。  後ろにはさっきの化け物が追ってきている。 だから走った。この出口の無い森の中を………。
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