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私は走っていた。
何かから逃げるようにこの得体もしれない森を、どこが逃げ道なのかわからない森を、ひたすら走っていた。
そして【何か】が追ってくる気配が突然消えた。
かなり走った。運動音痴な自分では考えられないほどに走った。
「純くん、美紀ちゃん、智子ちゃん………」
友達の名前を呟いた。三人はサークルの仲間で仲良しだ。
今回だってみんなで……。
ううう……
私は一人涙を流した。
なんでこんな事になったの?
なにが悪かったの?
なにが……なにが……。
私たちを襲ったの?
わからない、わからない……でも
助けなきゃ!私が助けないで誰が助けてくれるの!?私が助けるのよ!
そう自分に言い聞かせて震える足を元いた場所に向けた。
怯える心に喝をいれ、ゆっくり歩き始めた。
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