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誰もこの認識の過程とその必要性について語った者はいなかった。寺院では祈りが捧げられ、僧院では瞑想が続けられている。だが真理を知る者は誰もいない。それについて語ろうとする者さえいない。誰もが羊の群れのように、踏みならされてきた道を歩もうとする。人の歩いた道に従ってはならない。自分自身の道を歩かなければならない。道なき道を行くのだ。
質問者
それは果てしない広がりです!
パパジ
空の中に道はない。どこへ行こうとも、空があなたの後に従う。空があなたの横に、上に、下にある。空を離れてどこへ行こうというのか? それ以外のどこに行くというのか? その空の中では死も近づけない。神さえも近づくことはできない。
質問者
それは在る。ただ在るのです。
パパジ
(笑いながら)それはただ在るのだ。このキウイ(ニュージーランド人のこと)はとても頼もしい(笑)。ゆっくりしているように見えながら、とても素早い。あなたに会えて嬉しい。あなたは、あなたと私の関係性はどのようなものかという質問をもってやって来た。これがその関係性だ。
質問者
私は質問の答えを得ました。
パパジ
答え! これが唯一の関係性だ。これ以外に永遠の関係性などない。神との関係でさえ永遠ではないのだ。両親も牧師もあなたに永遠の関係性を与える事はできない。ただこれだけが、永遠に続く価値のある関係性なのだ。これだけは避けて通れない。この関係性だけはあなたを捨て去る事はない。離婚はありえない。これ以外の全ての関係性は、利己主義を土台に成り立ち、利益や欲望に動機づけられている。この関係性は優しく、愛情深く、このうえもなく美しい。この関係性については辞書を見ても見つからないだろう。間違いない。誰もこの関係性を知らない。それ以外の全ての関係性は全て醜く、汚れたものなのだ。
質問者
私ははじめ、あなたを利用することを考えていたのに、最後には、あなたに出会ったのです。
パパジ
ここからは、あなたの櫂を川の中に投げ捨てれば安全な船旅となるだろう。
質問者
私は櫂がとても気に入っているのです。
パパジ
風があるではないか。風があなたの面倒を見るだろう。櫂を使うのはくたびれる。風にまかせなさい。
質問者
櫂を捨てる事を想像すると恐ろしくなります。
パパジ
今がその時だ。私が「櫂を捨てなさい」と言うこの時こそ、それをするべき時なのだ。
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