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セレスティアの空は鼠色で暗く、どこかインフェリアの曇りの時と似ている。
…そんな事をふと考えているのは、アイメンの町の端っこで寝転んでいるある一人の青年。
へそ出しルックスはそのまま、少年のような顔を持つ彼は、今にも燃え出すかのように赤い髪を無い風になびかせていた。
「リッドー、リッドー…」
頭の後ろで組んだ腕を枕にし、足を無造作に組んだ彼は、自分の名が呼ばれているのに気付き、上半身だけ起こした。
「あ、いたいた。こんなところにいたんだね、リッド!…探しちゃったよ」
「ファラ。どうかしたか?」
そう、彼リッドを探す人とは、他でも無いファラであった。どうでもいいが彼女は何故か右手におたま、左手にフライパンを持っている。
「あ、あのね…」
「メシか?」
「ううん。ってか今から作るんだけど、なんかキールが用があるみたいなんだ」
「キールが?」
リッドは訝しげに声を上げた。
「うん。図書館で待ってるって言ってたから、行ってあげて」
「ん~…」
「わかったわね?」
ファラに念を押され渋々と承知したリッドは、「腹減ったし、さっさと済まそう」と重たい足を引きずるように動かし図書館へ向かった。
「行ってらっしゃーい!…さ、て、と。お昼ご飯は何にしようかな…。ホットボルシチか…ひやピリちゅうか……。……うん、大丈夫、イケる、イケる!」
ファラは、まだ昼ご飯のレシピを決め兼ねているようだ。
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