case.1 梓 VS 弱い男

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「おはようございまーす。あれ?今日、待機少なくない?」 私の名前は安藤一紗。 19歳、短大一年。 ファミレスでバイトしてたんだけど、割りに合わなくて辞めた。 偶然、雑誌でこの仕事を知ったから。 私はここで働くことを決めた。 高層マンションの一室が、私の仕事場。 デリバリーショップ『チェリーブロッサム』。  ここは世の中の男のためにある店。 モテない、彼女が欲しい、結婚してるけど刺激が欲しい。 なんて、男がこの店を利用する。 デリヘルって風俗店があるけど、それのエッチな部分がない店って考えてもらったら早いかも。 お酒も飲まないし、ノルマもない。 これと言って厳しい規則もない。 ただ一つ私たちキャストに課せられた仕事はお客様と本気で擬似恋愛し、その気にさせ喜んでもらうこと。 一切エロ抜きって言っても正直毎回不安だらけだけどね。 お客様の家にも行くことあるし、基本二人きりだから。 ホテルに入るのは禁止されてるから、本番行為に至るのは稀だけど。 100%その可能性はないのかと聞かれたら嘘になるのかな? 私はまだ入店歴半年だからそんな危険な目にあったことないけど、長くこの仕事をやっていると色々危険な目に遭っているキャストもいるみたい。 それでもこの仕事を続けるのは、お金が必要だったり、そのキャストの深い事情があるから。 私もその一人。 簡単にこの仕事を辞める訳には行かないんだ。
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