case.1 梓 VS 弱い男

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「今日は自宅待機が3人と店内待機2人だから梓に行ってもらうからね。指名もらわないと今月きついんでしょ?」 受付担当の菊っちゃん(本名・菊池。女)はみんなに頼られる姐御(あねご)。 30代前半、独身。 受付担当は二人いて、大体は菊っちゃんが仕切っている。 受付は仕事の割り振りやキャストのメンタル相談、客からのクレーム処理、店内の完備など仕事が山ほどあるのだ。 今月指名があまり取れていない私に優先的に新規(初めてこの店を利用する)の客を当ててくれる気が利く出来る女。 ちなみに梓って言うのは私の源治名(お店での名前)。 プルルル………。 早速、店の電話が鳴る。 「はい、ご利用ありがとうございます。 デリバリーショップ、チェリーブロッサムでございます。 ……初めてのご利用でございますね。 お好みのタイプはございますか?」 新規の客からの電話のようだ。 新規の客は私に回すって言ってたけど、どうか変なキモ男じゃありませんように。 私は心の中で願った。 「梓、新規……25歳、彼女いない歴25年。松島様の接客よ。 プレイ内容は彼女になりきってデート。 延長取れるように頑張ってきなさい。 送迎は下で待ってるから支度して乗って」菊っちゃんはやっぱり私の名前を呼んだ。 しかも、彼女いない歴25年て……。 やっぱりキモ男!? 「客のタイプは?」 私は菊っちゃんに聞く。 「梓、いつも様を付けなさいって言ってるでしょ?」
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