カエルの王様

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いつの頃かは忘れたが昔、父に連れていってもらった土手へまずは行ってみよう              ピョコッ    ピョコッ     ピョコッ       ピョコッ              ゼーーーーーハーゼーーーーーハー                  とっ遠い…              三十年という虚空の賜物である… どうやら私は老いたらしい… たかだか四ピョコッでゼーーーーーハーゼーーーーーハーとまるで人工呼吸機を付けた末期の患者のように伸ばし棒をゼとハの間に五本もいれないと息切れが表現できないくらい、老いたらしい…              …………地下鉄で行こう…Suikaもあるし…………                 「ウッウヲォーン」              "ウッウヲォーン"という効果音だけで目的地に着く、地下鉄はすごくぃい、ぅん …で、目的地の土手に目前なんですが… 目的地の土手の目前なんですけど…も!              ……………  ……………   てんてんてんはてな。               米にシンニョウの子と書いて    まさしく迷子  列車から降りてコンマ二秒で      迷子 右よーし左よーし巻き込みよーし      …    終わったぁ!  ワシの人生終わったぁ! 悔いなし!異義なし!根性なし!              水がないから喉カラッカラッ…厳しい…命的に…命的にこの現実…厳しい…水がないのに目だけはしっかり泳いでる…いよっ!うまいね王様!    って…そんなうまいことを言ってる場合じゃない     まずい… …"まずい"とはまさしくこのことを言うのだろう… うん…道分かんねーし人多いし水ねーし…鳴いちゃうよ?ゲロゲーロって…言っちゃうよ? …だが…だがしかし、断る 死ぬことはまだ 断る              広い世界をこの目に焼き付けると決めたから              「ゆっくり ゆっくりでいいから 一歩ずつ歩いていこう」 BY.蛙の王様
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