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少し深く座り直した日野さんは、自分に語りかけるように言って、細い指でウェーブの長い髪に触れた。
「え…?」
誰の前でも、決して辛そうな顔や、寂しそうな顔を見せなかった日野さん。
うん、私の見てきた彼女は笑顔な訳で。
だけど今の日野さんは、疲れ切って、風でも吹けば崩れてしまいそうなほど悲しい表情をしている。
「周りからそんな風に見てもらいたいから、優等生ぶってるだけ。嫌いな奴も沢山いるよ」
そ…そんな上目遣いでこっちを見ないで。今のアナタはあまりにも無防備で美し過ぎます。
「私ね、真優に魅かれてるの」
何も飲んでないのに、思い切り咳込んだ。
予想打にしなかった告白。
心拍数はフルマラソンを完走した後ぐらいに上がっている。
…走ったことないけど。
「私にッ!?」
呼吸が調ってから、私はもう一度改めて驚きの声をあげた。
「真優は私よりもよっぽどキレイで美人よ」
微笑んだ瞳、首を傾げる素振り。
なんでこうも私の心を掴んで離さないのだろう。
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