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キラリと八重歯を光らせて微笑んでいらっしゃる。
な…なんという事だ!! 見返りを期待する子には見えないよ!?
「そのリボン高かったんだからね。御礼くらいは欲しいところ」
私の顎に指を絡ませる。
さっきとは違った、悪い意味でドキドキしてきたんだけど。
って言うか、日野さんキャラ変わってない?
「そうだなぁ…、じゃぁ、キスとか…どう?」
血の気が、一瞬にして引いた。
頭の中で「日野さんはこんな子なんかじゃなーい!!」と、もう一人の私が叫んでいる。
「………、」
誘うような視線。
優しい指。
日野さんの息を吐く音まで聞こえてくる程の距離感。
蛇に睨まれた蛙とはまさにこの状態。
これは、なんか逃げれない…。
「………、ちょっと。少しは逃げなよ…。冗談にならないでしょ…」
日野さんは顎から指を離すと、両手で私の肩を叩いた。
「へっ!?」
「悪い冗談だった? ごめん」
そ、そうか! そうだよね! ないない! 日野さんはだって、そんな事する人じゃないもんね!
体中に入っていた力が抜ける。
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