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輝は別に嫌味で言った訳ではないのだろうが、私は物凄く申し訳ない気分になってしまう。
「ああぅ…、ごめん。私何も考えないで物事言っちゃうから…」
過去にあの言葉を発した後も、そのときは勿論謝ったのだけど、今一度この場を借りて謝った。
「違うよ。ショックだったんじゃなくて、嬉しかったの」
元気の無くなった私の声のせいで、輝の表情が微かに曇る。
輝は慌てて首を横に振り、話しを続けた。
「紗綾ちゃん以外で、今まで私と接して来た子は、みんな目の事言わなかった」
握っていた右手を離し、そのまま自分の右目を指差す。
そして舌を出して、自慢げに笑うのだ。
まるで“私は他の皆とは違うんだよね”と伝えるように。
「私だったら、一番に聞きたい事なんだけど…」
“私も他とは違う”
その思いを込め、皮肉っぽく相槌を打った。
舌を出して笑う輝の仕草。
それは輝が他の人たちの見ている世界を見れない悔しさ、切なさ、もどかしさからきているものだと思った。
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