気紛れな画家

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「人によっては傷付いちゃう子もいるかもしれないからね。でも、そう言う事を素直に言える人って、ちゃんと私と向き合ってくれてるって…そう思えるから」 輝は苦しそうだった。 自分が今何を言っているのか、理解しているからだ。 今まで私以外に“ちゃんと向き合ってくれている”と思える人に出合っていない。 裏を返せば、そう言うことになる。 「…なんで紗綾ちゃんは、こんなに私に良くしてくれるの?」 私にはそれが“本当に親友だよね?”と尋ねられている様な気がした。 何があったのか分らない。 輝は自分からこんなことを訊く子じゃないから。 輝の全身から、私に向けられた“寂しい”というサイン。 私には、それしか分らない。 「…私からすれば、良くしてあげてるつもりはないんだな」 何も見えない孤独な世界。 思えば輝は、そこでとても長い時間を過ごして来た。 いくら強がっても、いくら笑顔でいても、寂しくない訳ないじゃないか。 恐くない訳ないじゃないか。
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