422人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
「人によっては傷付いちゃう子もいるかもしれないからね。でも、そう言う事を素直に言える人って、ちゃんと私と向き合ってくれてるって…そう思えるから」
輝は苦しそうだった。
自分が今何を言っているのか、理解しているからだ。
今まで私以外に“ちゃんと向き合ってくれている”と思える人に出合っていない。
裏を返せば、そう言うことになる。
「…なんで紗綾ちゃんは、こんなに私に良くしてくれるの?」
私にはそれが“本当に親友だよね?”と尋ねられている様な気がした。
何があったのか分らない。
輝は自分からこんなことを訊く子じゃないから。
輝の全身から、私に向けられた“寂しい”というサイン。
私には、それしか分らない。
「…私からすれば、良くしてあげてるつもりはないんだな」
何も見えない孤独な世界。
思えば輝は、そこでとても長い時間を過ごして来た。
いくら強がっても、いくら笑顔でいても、寂しくない訳ないじゃないか。
恐くない訳ないじゃないか。
最初のコメントを投稿しよう!